やがて小夜子は、レイプ犯の指先にぬめりを感じるようになった。もちろんオイルやローションなどではないことくらい小夜子には分かっていた。後ろに目をやって確認したわけではないが、男が道具を持ち出したのならすぐに気付くだろう。
小夜子自身の愛液が男の指を濡らしているに違いなかった。膣から溢れ出た蜜が垂れ落ちてクリトリスまで濡らしたのだ。
これからレイプ魔に犯されようとしているというのに、快感を得て股を濡らしている……。浅ましい現実に小夜子は胸が押し潰されそうになった。
だが男の責めは止まることがない。
快感もおさまる気配を見せない。
うっすらとしか感じなかった愛液のぬめりは、あっという間に鮮明なものとなって小夜子の心を苛んだ。
私は淫乱な人妻なんかじゃない。小夜子は自分に言い聞かせた。
夫に抱かれるのはせいぜい3日に1回程度だけれど、自分からねだったことはなかった。そのくらいで充分に満足していた。
独り身だった頃は、オナニーくらいはもちろんしていたが、1週間に1回もしていなかったはず。
性欲に溺れたことは一度もない。
自分で言うのもなんだけれど、どちらかと言えば貞淑な人妻と言ってもいいんじゃないだろうか、と小夜子はこれまで思ってきた。
しかし、クリトリスから生まれる甘い快楽が、その認識を否定してくる。
かろうじてこらえている喘ぎ声も、いつまで我慢していられるかは分からなかった。気を抜けばすぐにでも嬌声が漏れてしまいそうだった。
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