三笠くんは大人しい生徒だった。
私に顔を拭われている間も、黙ってされるがままにしていた。
首筋を拭われても何も言わなかった。カッターシャツを脱がされても、Tシャツを脱がされても、やはり何も言わなかった。
困惑していたと表現した方がいいのかもしれないが、とにかく、自分がいったい何をされているのかという疑問を口にすることはなかった。
あるいは分かっていたのかもしれない。分かった上で期待していたのかもしれない。
とにかく彼は、上半身を裸にされても無言だった。
私はタオルで彼の身体を拭いていったが、ここから先はどうしようか、なかなか判断が付かなかった。
彼の胸に顔を埋めてみたくはあったものの、それはあまりに大胆な行動のように思えて、躊躇した。
ここまでやっておいて何を言っているんだという感じだけど、この時点ではまだ身体を拭いていただけという言い訳も通用しなくもなかった。それが私を踏み留まらせていたのかもしれない。
私が次に取った行動は、実に中途半端なものだった。
「こっちも拭いてあげるね」
私はそう言って、彼のズボンに手を掛けた。
そこまでするのは明らかに常識を外れているけれど、あくまでも汗を拭うという体裁は崩さない。そういう方針に落ち着いたのである。
「先生……」
さすがにここで、三笠くんは抵抗の意を示した。
だけどそれは弱々しく、私のやることを拒絶しているというより、下半身を露わにすることを恥ずかしがっているといった方が的確だろう。
「いいから、先生に任せなさい」
私の言葉に三笠くんは黙り込んだ。
私は、彼のベルトを緩めた。
「少し、腰を上げてくれる?」
おそらくは従わないだろうと思っていた。拒否された後にどうやって言いくるめようかと考えながら発した言葉だった。
しかし三笠くんはおずおずと腰を浮かせてくれた。
私は、彼のズボンを、股間と膝頭の中間辺りまで引き下ろした。
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