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処女教師と男子生徒2 介抱

 7月の暑い日のことだった。
 初めて禁断の果実を食したその日、私はひとりの男子生徒を介抱した。
 その子は、グラウンドで行われた全体朝礼で貧血となり、保健室に運ばれたのだった。
 出張で保健の先生が不在の日だったので、彼の顔色が良くなるまで、たまたま朝イチで授業のない私が看ていることになった。といっても、ベッドの隣でパイプ椅子に腰掛けていただけなのだけれど。
 彼は別に気を失ったわけではなく、終始 意識がはっきりしていたので、少し休めばすぐに回復するだろうことは明らかであり、私がすべきことは特になかった。
 彼が深刻な疲労困憊状態であったなら、私に転機が訪れることもなかっただろう。
 その子は大人しくベッドで横になっていた。寝ているのかどうなのか、仰向けで目を瞑り静かに呼吸している。
 肌の綺麗な子だった。女の子と見間違いなそうな顔立ちをしている。美少年といってもいいくらいだ。
 穏やかな表情だが、さっきまで気分が悪かっただけあって、彼はたっぷりと汗を掻いていた。中学生でありながら体臭はすでに男のそれだった。
 汗の臭いを嗅いでいるうちに私は落ち着きを無くした。保健室には他に誰もいないことが分かりきっているのに辺りを見回したり、何度も姿勢を正したり。
 そうしている間にもますます平常心を失っていった。
 自分では何が起きているのかよく分かっていなかったが、無意識に手を股間に当てていたことに気付き、ようやく事態を悟った。
 欲情しているのだ。自分の生徒に。
 それを自覚したからといって、抑制が働くことはなく、むしろ自分の異常性に触れて私は余計に興奮してしまった。

 官能的な欲望と自制心との間で揺れ動いた末に私は言った。
「三笠くん、汗を拭いてあげようか?」
 返事はなかった。目を瞑っているから寝ているのかもしれない。
 そして私は思った。寝ているのなら、少しくらい触っても気付かれないのではないか。
 完全に冷静さを欠いた思考だが、興奮していた時はその愚かさを微塵も理解できていなかった。
 私はタオルを持ち、恐る恐る手を伸ばした。
 タオルで頬を少しだけ撫でると、三笠くんは唐突に目を開け、戸惑った目で私を見た。
 寝てなんかいなかったんだ、と私は思った。話し掛けられたのがいきなりだったために、とっさの反応ができず、結果的に寝たふりをすることになったのだろう。
 私は慌てて言った。
「あ、ごめんね。起こしちゃった? 汗が凄いから、寝苦しいかと思って」
 私の言葉を三笠くんがどこまで信じているのかは判然としなかったが、彼の目から非難の意志は感じられなかったので、私は再び尋ねることにした。
「汗を拭いてあげましょうか……?」
 彼は小さく頷いた。
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