「んぐぐ」
喉粘膜に触れるか触れないかという位置にまで来ているディルドウに私は恐怖を抱いた。あと少しでも深く入ってくれば、ひどく苦しい思いを味わうことになるだろう。それを思うと今すぐ吐き出したかったが、楓に後頭部を押さえられていてはどうにもならなかった。
ディルドウの9割ほどを咥え込んでいるため、楓の股間がすぐ目の前にあった。黒い下着の上に黒いディルドウを身に着けている姿はなんとも滑稽に見える。男の人からしたらあるいは官能的に見えるのかもしれないが。
「ここまで咥えるの。今の位置をよく覚えておくのよ」
楓の腕から力が抜けるのを感じ、私は顔を引いた。
「ちゃんと唇を締め付けなさい!」
怒鳴られて、急いで唇を窄める。また頭を押されてはかなわない。これまで以上に忠実にならざるをえなかった。
ディルドウが中程まで顔を出すと、楓の手に力が篭もった。
また押し込まれるのかと私は身構えたが、楓は私の動きを止めただけで、それ以上は何もしてこなかった。代わりに指示が来る。
「ここまで顔を引いたら、また咥え込んでいくの。分かった?」
「…………」
「分かったかって聞いてるんだけど?」
ディルドウを咥えた状態ではまともな返事なんてできるはずはないので黙っていたけれど、しかしそれを看過するつもりなんて楓にはないらしい。
私は仕方なく「あい」とくぐもった声で返事をした。その拍子に、口の中に溜まっていた唾液が唇の端から溢れ、ディルドウを伝って楓の股間に流れ落ちた。
楓は特に気にする様子もなく言った。
「分かったら、ディルドウをしゃぶり尽くしなさい。ここから一気に射精まで導くつもりでね」
私は再び「あい」と言って、ディルドウを口内の奥まで呑み込んでいった。
先端が喉に当たるのが恐かったので、先程よりも僅かに浅い位置で顔を止める。
「まだ入るでしょう?」
目敏く楓が注意してきた。
直後、頭を軽く叩かれる。
28歳でありながら未成年に頭を小突かれるのはやはり悔しかった。誤魔化そうとしたのは事実であるため、なんだか正当な罰であるかのようで、余計に屈辱感が増した。
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