私と三笠くんは、学校の外で時々会うようになった。
学校の近くにある人気のない道で待っている三笠くんを軽四で拾い、少し遠くまで適当に移動してから、やはり人気のない道に止め、車内でいかがわしい行為に及んだ。
私は独り暮らしをしているので、彼をアパートに呼べないこともない。けれど、か弱い中学生とはいえ彼も男なのだから、密室で2人きりになるのは少し躊躇いがあった。暴走した三笠くんに強引に処女を奪われてはかなわない。
道端に止めた車の中なら、いつでも逃げられるし、暴れたらさすがに目立つ。だから車内でエッチなことをするようにしているのだった。
三笠くんと会うのは、大抵の場合、日が落ちてからのことになる。三笠くんを車で拾うところを知り合いに見られるわけにはいかないので、その方が都合が良いのだ。もちろん、外から車の中が見えにくくなるというのもあった。
「この辺でいいかしら?」
「あ、はい」
他の車があまり通らなさそうな道を見付けた私は、軽四を止めて、エンジンを切った。
春とはいえ夜ともなるとまだ肌寒いのだけれど、しかしエンジン音を鳴らし続けるわけにはいかない。目立ってしまうし、こっちとしても、誰かが近付いてきた時に気付きにくくなってしまう。
静かな夜に、私たちはなるべく音を立てないようにしながら、お互いの身体を抱き締めた。私は運転席から身を乗り出し、彼は助手席から身を乗り出していた。
座席も、座席同士の間も、軽四は狭い。抱き合うには最適の車だ。
「他人の体温って、すごく温かく感じるものなのね」
私はしみじみと言った。抱擁は心が満たされるって感じがするけど、物理的な温もりも同じくらい心地良く思える。エンジンを切ってすぐに車内が冷えてきたので、余計にそう思う。
三笠くんは「はい」とだけ言った。
彼はあまり喋らない。そのことについて私は特に不満に思わなかった。私もあまり口数の多い方ではないし。
恋人同士みたいな甘い言葉を囁いて欲しいと思うこともあるけれど、まあ、さすがにそれは贅沢というものだろう。女の子みたいに綺麗な顔をしているだけでもパートナーとしては充分すぎるくらい魅力的だ。華奢な身体も私の好みにぴったりだった。
そもそも、私と三笠くんは恋人でも何でもないのだから、あまりおかしな雰囲気になってしまうのは考えものだ。
「キスをしましょうか」
「はい」
私たちは小さく声を交わした。
誰かが近くを通ったりしていない限り、普通に喋っていても問題はないのだろうけれど、道端に止めた車の中でいやらしいことをしているという背徳感のせいか、なぜだか声をひそめてしまうのだった。
私と三笠くんは、唇を求め合いながら、相手の股間に手を伸ばした。
ろくに明かりがないので、車内は暗闇に支配されており、股間に触れようとするだけでも、まずは相手の胸に手を置く必要があった。そこから下に手を滑らせていくのだ。
私の手が学生服のズボン越しにペニスに触れたのとほぼ同時に、彼の手が私のスカートの中に潜り込んできた。
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