その日のうちに私は店に出されることになった。一応は合格ということらしい。楓の態度は、人手が足りないから仕方なくといった感じだったが。
初めての客は、無愛想な中年男だった。
無愛想というのは客として歓迎すべきタイプであることを私は後に知るのだが、この時は、初めてだというのにとんだ外れクジを引いたものだ、と嘆いていた。しかも、まあこれからはこんな客も相手にしていかなければならないのだから早く慣れた方がいいか、なんて思っていた。
愛想の良い客なんてそうそうおらず、どころか横柄な態度でピンサロ嬢を見下す客が決して少なくないことを、私は知らなかったのだ。
「失礼します」
と私は言って、ソファに座っている客の隣に腰を下ろした。並んで座った状態で、客の股間に手を伸ばし、ズボンと下着を引き下げる。
脱がす際に客はわずかに腰を上げて私に協力してくれたが、やはり無言のままだった。私が何度か話し掛けても、反応がないどころか、迷惑そうな顔をする。
正直なところかなり苛つかされたが、しかし私はそれを態度に出すことなく、おしぼりで客のペニスを拭いた。
夫以外のペニスに触れるのは初めてのことであり、何も思わないわけではなかったものの、案外 大したことはなかった。あくまで仕事に過ぎないのだと割り切っていれば、自分が汚れていく感覚なんて湧いてこないものらしい。
ペニスを綺麗にした私は、客の股間に顔を寄せた。
しっかりと拭いたはずなのに、ペニスからは性臭が漂っていた。
思わず顔を顰めてしまう。
客から表情を見られることがないのは幸いだった。
私は、一度だけ意識的にまばたきをした。それからペニスを握り、軽くしごき立てながら、亀頭に舌を伸ばした。
臭いのことはなるべく考えないようにした。
睾丸を揉みほぐし、陰茎の根元をしごいている手の動きを速めていく。
尿道口からうっすらと透明の粘液が滲んできたのを確認してから、私は思い切ってペニスに唇を被せていった。
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