3回目のセックスは、ベッドから下りて、立ったままやった。平沼都子には、壁に手を着かせ、俺は後ろから責め立てたのだ。そうしながら、彼女の肛門に指を入れていた。
「な、なにを……」
さすがに抗議された。肩越しに振り返った彼女に対して、俺は「まあまあ、これくらい、いいでしょ」と言って、取り合わなかった。
唇を噛んで視線を落とした平沼都子は、前に向き直った。
俺は彼女の肛門に指を突っ込んだまま射精した。
一晩で3回も出したのは、これが初めてのことだった。
セックスをして数ヶ月が経つと、女たちは決まって怒りの形相を浮かべる。まあ、約束を反故にして、派遣社員のままにされたら、そりゃあ怒るだろうが。
そういう時、俺は、「そんな約束なんてしてないだろ! 俺は自由恋愛をしていたつもりだったのに、そっちは正社員になるのが目的だったのか!」と逆ギレをすることにしている。
すると女は大抵 怯む。
まさか本気にしたわけではないだろうが、しかしまあ、もしかしたら本音なのかも、なんて思ってしまうと、なかなか相手を責められないものだ。
そこで俺は、「なあ、俺たち、付き合ってるんだよな? 正社員とかそんなのと関係なく、俺たちはこれからも付き合うんだよな?」と言う。
もう女はドン引きだ。俺みたいな馬鹿とこれ以上 関わり合いになったら、どうなるか分かったもんじゃない。そう思い、幕引きを模索し始める。
馬鹿を演じるのは楽じゃないが、新しいセックス相手を見付けるたびに、いちいち正社員登用なんてしていられない。楽しいセックスライフを送るためには仕方のない手間なのだ。
こうして平沼都子は俺の元から去っていった。
そして俺はまた新しい派遣社員に声を掛けるのだった。
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