まだ20代で細身の優男である俺は、調教前の女から舐められることが多い。だから最初はガツンと決めなければならない。鞭で脅すのは武器に頼っているような感じがして、個人的には好きではないのだが、仕方がない。最初に決まった人間関係は容易には崩せないのだ。ここで手抜かりがあってはならない。優男の俺としては鞭を使うのもやむなしだ。
とはいえ、俺はけっこう鍛えているから、脱げば凄いんだけどな。細マッチョというやつだ。腹筋は八つに割れている。今はスーツに身を包んでいるから美樹には分からないだろうが。
まあ、どっちにしろ俺の身長は平均くらいだから、筋肉を見たところで威圧されることはあまりないかもしれない。そのへんは人によるといったところか。
「抵抗はしないって言ってるでしょう。レイプしたいのならすればいいじゃないの。私は何もおかしなことはしないわ」
美樹は、やや震えた声で言った。
俺は首を横に振る。
「そういうことじゃないんだよ。お前は俺に、土下座をしろと言われた。調教師であるこの俺に。しかしお前は従わなかった。そこが問題なんだ。というか、問題は他にも色々あるんだけどな。言葉遣いとか、態度とか、服装とかな」
「服装って、なによ」
「今から調教を受けようっていうのに、なんで服なんて着てるんだ。調教室に入って即全裸になるのが当然だろう?」
「知らないわよ、そんなの。知ってるわけないでしょう。あんた、馬鹿じゃないの」
「その言葉、よく覚えておけよ。全裸で土下座させながら復唱させてやろう」
俺は鞭を大きく振った。
鞭の先は、一直線に美樹の脇腹に当たった。Tシャツの上からだが、威力の減退なんて知れている。相当な痛みを与えることができただろう。
「ああぁっ!」
美樹は脇腹を押さえながらコンクリの地面に膝を着いた。そして恐る恐る俺を見上げた。彼女の瞳には恐怖の感情が明確に浮かび上がっていた。
俺を舐めるからこうなるのだ。美樹が調教をどう捉えていていたのかは知らないが、現実の厳しさを思い知ったことだろう。
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